- おやさとやかたとは?
- おやさとやかたはなぜ計画されたのか?
- おやさとやかたにはどのような意義があるのか?
- 東西南北棟にそれぞれ込められた思いとは?
- 形のふしんと心の成人の関係性とは?
- 現在のおやさとやかたの進捗状況
はじめに
おやさとやかたとは、「神のやかた」であるところの元のぢば、即ち元なるぢばを8町4面に取り囲む建物の名前のことです。
教祖は、『逸話篇』93「八町四方」にて、
今に、ここら辺り一面に……屋敷の中は、八町四方と成るのやで。
と仰せられました。
この言葉を受け、二代真柱様は「復元」の名のもと、おやさとやかたふしんに取りかかられます。
八町四方とは、「かんろだいのぢばをしんとして、4町を半径とした4角」を、おやさとやかたで取り囲むことであります。
今回は、二代真柱様の訓話集を基に、考察していきたいと思います。
- 天理教教会本部編『稿本 天理教教祖伝逸話篇』天理教道友社 立教174年
- 天理大学おやさと研究所編『改訂 天理教事典』天理教道友社 平成8年
- 中山正善『真柱訓話集 13巻』昭和28年4月18日
- 中山正善『真柱訓話集 13巻』昭和28年4月26日
- 中山正善『真柱訓話集 14巻』昭和29年4月18日
- 中山正善『真柱訓話集 15巻』昭和30年12月5日
おやさとやかたの意義
昭和28年4月18日、教祖御誕生祭終了後、二代真柱様は会議所にて、昭和31年につとめられる教祖70年祭に向けて、
「復元の実によって、我々の心の成人を御覧頂く」
という心定めを発表され、心の成人の現わし方・おやさとの建設を70年祭を目標として始めたいと考えられのです。
教祖の年祭について
教祖の年祭について、二代真柱様は、
「教祖の年祭は、その子供可愛いゝ親心を十分に汲まして頂く事が、大切なので御座います。」
と考えられました。
その親心を汲むとは、「親の膝元に於いて陽気ぐらしを、互いに手を取り合って親しく進めて行く実」であると述べられたのです。
復元の実について
さらに、復元の実について、二代真柱様は、
「復元の実とは、親神様の思召であります陽気ぐらしへ陽気ぐらしへと、我々の喜びを向けて行く事であります。」
と述べられました。
心の成人について
また、心の成人については、
「心の成人とは、教祖の身を以ってお急き込み頂いたその理をよく考えて、早く親神様のお心の分る様に、胸を開いて信仰を深めて行く事で御座います。」
と述べられておられます。
元を尋ねるについて
元を尋ねるということについて、二代真柱様は、
「元を尋ねるという事は、元初りの陽気ぐらしを、理によってこれを我々の心に思い返し、理によって喜びを新たにして行く」
と述べられています。
これは、具体的に、地上における元を求めるということは、恐らくぢばということになり、即ち親里に帰って来ることであろうと考えられています。
親里=ぢば
こうしたことから、親里というのは、ぢばの意味であることが分かります。
”ぢば”とは
- 子どもである人々が集まる所
- 子どもが帰って来る所一面
- 子供に喜びを与える所である
ということが示されています。
復元の実と心の成人の現われ
二代真柱様は、 ”心をもとへ戻して陽気ぐらしになるという事は、親里に於て、先ず其の雛型が最も如実に現れることが望ましい事である” と考えられ、復元の実・心の成人の現われをおやさとやかたに求めたいと決心されたのです。
ぢばを取り囲む子供の住居であるおやさとやかたをめぐらし、親も子も共に、神人共に一つの心になって、陽気ぐらしの実、世界の平和の雛型を親里に於いて現して行きたい。という、深く大きな思いを込められ、おやさとやかたふしんを決心された。
「東棟5棟のふしん」に見る二代真柱様の思い
おやさとやかたの建物は、おやさとであるぢばを芯として東西南北に区切り、それぞれ「棟」という呼び方をされています。
おやさとやかたふしんの第1歩としてまず初めにかかられたのは、「東棟5棟のふしん」であります。
東棟とは、「ちょうど、ぢばの所謂かんろだいの場所の真東4町のところ」に建てられた棟を中心に、左右に連なる棟のことです。
また、真東に当たる棟には、「真東棟」と名付けられた。
この東棟の5棟に於いて、二代真柱様は何を求められたのでしょうか?
東棟の5棟は仕込みの場所
東棟について、二代真柱様は、別席場その他の仕込み場所に使い度いと考えられたのです。
そして、真東棟には、教理を掘り下げ、教理を研究するところの中心である天理教校を設けられ、その左に連なる4棟には、求めた理、教理を信者の方々に分かってもらう講義をする別席、その別席を取り次ぐ別席場として使用することにされたのです。
このことに関して、二代真柱様は、
おやさとを慕って帰って来る人達、その人達に親の理、即ち陽気ぐらしの理をしっかりと胸に治めて頂いて、心を入れ替える事に依って、だんだんと平和な、そして仲の良い人間社会の生れる様進めて行く事が、私達の立場であり、私達の喜びであるのであります。私達の総べての事は、この喜びから出発するのであります。子供の楽しむところのやかたの最初の使い方を、この教理に依って進める事になったのであります。
と述べらました。
東棟から建てられた理由
また、これを花の順序に例え、
「先ず元(根)を求め、教理をしっかり胸に治めて、胸に湧く喜びが相手をとり合って、花となり枝と伸びて行く事が、順序である」
- 教理を深めること
- 教理・別席の取次によって心を入れ替えること
- 陽気ぐらしの世へと進めていくこと
- 道を通ることを無常の喜びとすること
と説明されました。
このように二代真柱様は、やかたの最初の使い方も教理によって進めていくと考えられ、そのために、まず東棟から建てられたのです。
西南北棟のそれぞれの役割
二代真柱様は、東棟だけではなく、他の西南北においてもそれぞれ役割を述べられています。
西棟の方は、詰所その他の部門に使い度い。北乃至南は、教庁などの事務所の上に将来は使って行き度い。斯様に考えて居る訳であります。
と述べられ、あらゆる分野をそれぞれのやかたで違う目的とするような構想を発表されたのです。
現在のおやさとやかた
※赤色の部分がおやさとやかたが完成されている場所
東棟
東左第1~5棟・真東棟・東右第1棟・4棟
西棟
西左第3~5棟・西右第2~5棟・8棟
南棟
南左第1~4棟・真南棟・南右第1~3棟
北棟
北左第4棟・8棟
形のふしんに先立つ心のふしん
二代真柱様は、東棟のふしんの際に、あらゆる思いを述べられておられましたが、その中でも、
おやさとの建設の第一の意義は、心のふしんである!
と述べられ、あくまでも、形よりも人の心を重視されているのです。
これは、「復元の実によって、我々の心の成人を御覧頂く」という言葉からも読み取ることができます。
おやさとやかた普請と心の関係
二代真柱様は、おやさとやかたふしんと私達の心の関係性について、
竣工と申しますると、出来上がった事をお考えになるのであります。然し、建物は出来上がりましたが、年祭は明日に控えて居ります。建物の中に住むところの、子供の心の造り方、我々の心の持ち方は、これからなのであります。
と、第一期工事竣工の披露式に於いて述べられています。
即ち、建物の上から言えば完成であるが、私達の気持ちの上から言えば門出の披露であると考えられ、「私達の勤め、私達の足取りは、これから門出さして頂く」と、あくまでも出発点であることを述べられました。
立教182年5月天理教八生兵庫分教会 よろこび月報形のふしん=心の成人
このように、形のふしんに先立って、心の成人に励むことの大切さを感じることができます。
そして、あくまでもそれは教理に依って進められるため、私達が教理の習得に励むこと、即ち求道の大切さを述べられているように感じます。
ですので、私達が成人し、陽気ぐらしへと歩みを進めることでおやさとの建設が進められ、おやしきの様子が変わっていくのだということを理解することができると思います。
まとめ
これまで何気なく見ていたおやさとやかたが、この記事作成をキッカケにおやさとやかたの意義やそれぞれの棟に込められた思いも知ることができたのではないでしょうか?
そして、何よりも心の成人に励むことの大切さが分かり、何事も心の歩みを進めていくことで、形は後から自ずとついてくるものであることも認識することができます。
私達は、如何にして日々を過ごすのか?
これから、心の成人ができるようにますます励み、陽気ぐらしへ、また、おやさとやかたの発展にと思いを寄せて歩ませていただきたいとおもいます。